2022年4月から株式市場が再編されます。
具体的には、これまでの
- 東証1部・2部
- マザーズ
- ジャスダック
の区分が
- プライム
- スタンダード
- グロース
に名称が変わり、それにともない銘柄がそれぞれの区分に振り分けられます。
これについては
“東証1部”が消える!新市場”プライム”に駆けこむには?【どうなる持ち株のゆくえ】
この記事でくわしく書きましたので、興味のある方はご覧ください。
で今回の本題。
これまでは東証1部上場企業のすべてを組み入れた指数だったTOPIX。
2022年10月からは東証1部のなかでも、ある基準を満たさない銘柄はTOPIXから除外されます。
今、日銀は景気対策でTOPIXに連動したETF(投資信託)を大量に購入しています。
つまりどういうことかと言うと
『TOPIXから外れる銘柄』 ⇒ 『日銀からの大量の買いを失い株価下落』
となるわけですね。
超重要。
あなたの株は大丈夫ですか?くわしく検証していきます。
TOPIXが選別型になるのはいつから?
くりかえしますが、TOPIXが選別型になるのは2022年10月からです。
これを聞いて・・ん?と違和感を覚える人は鋭いです。
そうです。それより半年前の2022年4月から”東証1部”はなくなってるんです。(プライム等に変更)
『TOPIX』は『東証1部全部乗せ指数』
だったのに東証1部がなくなってもTOPIXは存在するってヘンですよね。
これはプライム等の新市場区分とは切り離して、TOPIXの指数だけは残すということです。
いわば『旧東証1部』群としてTOPIXを残すということ。
ただその中に組み入れる銘柄は2022年10月から一定の基準をもうけて、徐々に外していくよ!ということです。
TOPIXから外れる銘柄の基準は?【流通株式時価総額100億円以下】
ではTOPIXから外れる銘柄の基準はなにか。
東証は『流通株式時価総額100億円未満の銘柄を段階的に除外する』としています。
流通株式時価総額・・長たらしい名前ですよね。
流通株式とはその名のとおり、流通して自由に売買可能な株のこと。
え!?上場してるんだからだれでも売買できるんじゃないの?と思うかもしれません。ただ実際は違います。
たとえば、上場している子会社。
『東芝テック』というレジのPOSシステムを作ってる会社があります。
この会社、「東芝」の名前がつくように親会社の東芝が52.43%の株を持っています。(第95期有価証券報告書より)
この52.43%の株が自由に売買できるか?というとそうじゃないんですね。
東芝が「買い増して完全子会社化する」とか、「売却して子会社から外す」とか、政策的に動かないかぎりずっとそのままで売買されない固定的な株。
流通株式はこうした固定的な株式を除いた株式。
これに株価をかけた時価総額が100億円以下なら、TOPIXから外しましょうということ。
ひとことでいうと『売買規模が小さい会社』は今後TOPIXから外していくよってことですね。
保有株で具体的に検証!
論より実践。
保有株の中から時価総額100億円以上の銘柄をピックアップし、流通株式時価総額をチェックします。
ダイト(4577)
- TOPIX残れるでしょう度・・・A判定
2020年5月期の有価証券報告書をチェックします。
東証によると
- 上場会社(自己株式)
- 上場会社の役員
- 上場株式数の10%以上を所有する者又は組合等
は固定株となっています。
上の赤線を引いたところがあやしいです。。
一番上の笹山眞治朗さんは昔の社長ですね。今は役員じゃないですし10%も超えてないのでこれはセーフ。固定株ではありません。
大津賀保信さんは現在の社長で役員。なので固定株(2.39%)。
あと従業員持ち株会がありますね。これも固有株(1.93%)。
あとは大和証券から別に大量保有報告書が出てます。上場企業なので固有株(4.42%)。
固有株を足し合わせると
2.39%(大津賀さん) + 1.93%(持ち株会) + 4.42%(大和証券) = 8.72%が固有株。
つまり残りの91.26%が流通株式。
これを書いてる2021年5月頭時点の時価総額472.6億円に91.26%をかけて
472.6億円 × 91.26% = 431.3億円
流通株式時価総額が100億円以上なのでTOPIXに残れるのはほぼ間違いないとみていいでしょう。(株価が大暴落しない限り・・)
ステップ(9795)
- TOPIX残れるでしょう度・・・A’判定
2020年9月期の有価証券報告書です。
赤線を引いたところがあやしいところ。
まず有限会社ケー・プランニングは10%を超えているので固定株(28.54%)。
龍井郷二さんは創業者で代表取締役。固定株(7.89%)。
龍井喜久江さん。おそらく創業者の奥さんと思われますがコレが少しむずかしい。
東証基準によると新規上場時や一部指定申請の場合は、『役員の配偶者及び二親等内の血族』も流通株式に含めるとなってます。
TOPIXに残ることは、新規上場や一部指定に関係がないのでセーフと考えられます。(固定株ではない)
最後に社員持ち株会が固定株(4.79%)。
上記を全て足し合わせると
28.54%(ケー・プランニング) + 7.89%(龍井郷二さん) + 4.79%(持ち株会) = 41.22%が固定株。
残りの58.78%が流通株式。
これを書いてる2021年5月頭時点の時価総額266.7億円に58.78%をかけて
266.7億円 × 58.78% = 156.8億円
流通株式時価総額が100億円以上なのでこちらもTOPIXにおそらく残れるでしょう。
鳥貴族(3193)
面白くない。もっとギリギリを攻めたい。
ってことでココからは番外編。僕は株持ってないけど、残れるかギリギリで、かつ有名な企業を持ってきました。
取りあげたのはみんな大好き鳥貴族。コロナがおさまったらじゃんじゃか行きたいですね。
- TOPIX残れるでしょう度・・・B判定
2020年7月期の有価証券報告書です。
一番上の大倉忠司さんは創業者。ご存じ関ジャニ大倉クンのお父さんですね。固定株(23.4%)。
(株)大倉忠はお父さんの個人会社でしょう。10%超えてるので固有株(10.14%)。
中西卓己さんは鳥貴族の役員。固定株(1.55%)。
持ち株会は固定株(1.54%)。
一番下はキリンビールですね。上場会社なので固定株(1.03%)。
上記を全て足し合わせると
23.4%(大倉クンお父さん) + 10.14%(お父さん会社) + 1.55%(中西さん) + 1.54%(持ち株会) + 1.03(キリン) = 37.66%が固定株。
残りの62.34%が流通株式。
これを書いてる2021年5月頭時点の時価総額190.6億円に62.34%をかけて
190.6億円 × 62.34% = 118.8億円
流通株式時価総額が100億円以上なのでギリギリセーフというところ。
もしコロナが長引いたりして業績悪化。株価がもし2割くらい落ちたら100億円以下のピンチに。
TOPIXから外れることで更なる売りを呼ぶ可能性もあります。。
まとめ
以上、TOPIXから外れる銘柄についての考察でした。
市場再編まで残りわずかとなって、各企業(とくに時価総額の小さい企業は)株価対策や株主対策に追われることになるでしょう。
あなたの持ち株は大丈夫ですか?ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょう。
それでは。Go for it!