高配当銘柄は悪環境でも下がりにくいのか?を検証してみる

株の話題

以前こちらの記事(株初心者向け覚えるべき指標編)で『経験則として配当利回りが5%くらいを超えてくると配当目当てで注文が入り株価が下がりにくくなります。』と書きました。

でも果たして本当にそうなのか?書きっぱなしは良くありません。

さっそく検証していきます。

悪環境で高配当利回りの銘柄はどう推移するか?

<検証方法>

・2021年6月末時点の各市場(東証1部、2部、JASDAQ)の配当利回りランキングから配当利回りが5%以上の銘柄を抽出。
 (ただし、2部・JASDAQはn数が少なく偏りが出るため、配当利回り4.5%以上の銘柄を抽出)

・6月末から8月24日までの下落環境で各市場平均との騰落率を比較

という内容でやっていきます。

ちなみにこの2カ月間の日本株の環境は大型株を中心に最悪。

日経平均は▲3.68%(28,792円→27,732円)、TOPIXは▲0.48%(1,944円→1,934円)下落しています。

東証1部

まず東証1部です。6月末時点で配当利回りが5.0%以上の銘柄は24社ありました。

この24社の配当利回りと6月末から8/24にかけての騰落率を示した表はコチラ。

高配当銘柄は悪環境でも下がりにくいのか?を検証してみる

平均騰落率は+0.98%ということで、あの逆風のなか高配当ファンドはプラスで運用することができました。

高配当ファンド:+0.98%

日経平均:▲3.68%

TOPIX:▲0.48%

比較すると日経平均に対し+4.66%、TOPIXに対し+1.46%も上回る結果になりました。

また13勝11敗と銘柄別の上げ下げでも勝ち越しました。なかなか良い滑り出し。

東証2部

続いて東証2部。東証2部の配当利回りが4.5%以上の銘柄は6社でした。

6社の配当利回り、また6月末から8/24にかけての騰落率を示した表はコチラ。

高配当銘柄は悪環境でも下がりにくいのか?を検証してみる

平均騰落率は▲0.69%ということで残念ながらマイナスになりました。

ただベンチマークの東証2部指数を見て下さい。(東証2部指数はTOPIXのように2部上場の全ての企業を指数化したもの)

▲2.03%の下落になってます。全然気付かなかったですけど1部より2部の下落が大きかったんですね。

高配当ファンド:▲0.69%

東証2部指数:▲2.03%

ということで高配当ファンドが市場平均を+1.34%上回る結果に。

やはり高配当株は強いのか!?次は最後JASDAQです。

◆ちょっとコーヒーブレイク☕

東証2部の配当利回りトップの㈱ベリテは「8.08%」と異常な利回りとなっていました。

調べたところかなりエキセントリックな企業でした。少し横道にそれますが、配当利回りを投資のイチ指標にする際のヒントになるので説明します。

なぜ配当利回りがこんなに高いのか?

  • 身を削って配当に命かける会社

こちらの資料をご覧ください。ベリテの決算短信から抜粋したものです。

高配当銘柄は悪環境でも下がりにくいのか?を検証してみる

配当性向がとんでもないことになっている。。

  • 2020年3月期:116.7%
  • 2021年3月期:144.7%
  • 2022年3月期(予想):259.1%

この配当性向とは当期利益のうち、何パーセントを配当に振り向けたかを示す指標です。(式:配当総額÷当期純利益)

つまりこれが100%を超えるということは、当期儲かった利益からではなく内部留保から血を流して配当を出しているということ。(ふつうの企業は当期利益の範囲内で収めるので30~40%程度です。)残った利益を全て配当に回す配当性向100%の企業は見たことはありますが、100%以上、よもや200%以上とは・・よっぽど経営層が自社株を持っているのか?きな臭い感じがします。

おそらく配当利回りが8.81%と非常に高かった背景は、

  • 異常な配当政策に「先行き大丈夫か?」という警戒感で株価が停滞した結果、利回りが高くなった(利回り=配当/株価なので株価が下がると利回りが上がる)
  • 第1四半期決算が赤字の予想が6月末時点ですでになされており、株価が下がっていた結果、利回りが高くなった

いずれにせよ、ちょっと異常な配当利回りをマークする企業は何か背景がある場合がほとんどです。

初心者の方は高い配当利回りにすぐ飛びつかず決算短信などで調べてみてくださいね。

JASDAQ

では最後、JASDAQです。

利回りが4.5%を超える銘柄は11社ありました。

11社の配当利回り、また6月末から8/24にかけての騰落率を示した表はコチラ。

高配当銘柄は悪環境でも下がりにくいのか?を検証してみる

平均騰落率は▲2.73%と大幅なマイナスとなりました。

またJASDAQ指数も▲2.31%なので市場平均を▲0.42%とわずかですが下回る結果になりました。

高配当ファンド:▲2.73%

JASDAQ指数:▲2.31%

NEW ART HOLDINGSなる会社が大暴落してるので、これの影響が大きかったです。。

まとめ

ということで高配当株は悪環境でも下がりにくいのか?を検証してきました。JASDAQ市場では1つの銘柄の影響を受けわずかに下回ったものの、かなり健闘したと言えるのではないでしょうか。

ポイントは

  • 配当利回りだけを見てパクつかないこと(ベリテのような要警戒な企業もあります)
  • ROICやキャッシュフロー倍率など他の指標も見て複合的に考えること

などです。それでは。Go for it!


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