令和に昭和スター石原裕次郎をはじめて見る。『狂った果実』の気づきと疑問

映画

石原裕次郎主演の『狂った果実』を見ました。

裕次郎はとにかく(いろいろ)凄かったらしいとのウワサは聞いてましたがちゃんと作品を見るのは今回初めて。

銀幕のスーパースターの作品を見た感想を綴っていきます。

あらすじ

夏の逗子海岸に遊びに来た兄弟2人。兄(石原裕次郎)は享楽的で不良。弟(津川雅彦)はたぶん童貞で女性にウブ。
2人は駅で出会った美女と海で再会する。弟は女性と恋に落ちるが彼女には秘密があった・・

気づき①演技下手すぎて逆にほほえましい

演技うんぬんよりハウリングする音響のせい?と疑いたくなるくらい皆さんセリフ棒読み。

ぶっきらぼうな言い方のせいで登場人物の性格など細かい作りこみはもはや意味をなしません。総じて「坊ちゃん」の主人公のような無鉄砲キャラに見えてきます。ヒロインも本来は影のある人物に描かないといけないんでしょうが、セリフ回しを聞くと天衣無縫なおてんば娘にしか見えません。

当時に比べると今の役者さんってめちゃめちゃ進化してるんだなあと思わされます。

気づき②岡田真澄がカッコよすぎる(ディーンフジオカ似)

岡田真澄というと昔バラエティに出ていた「スターリン似」の外人顔のおじさんというイメージ。

が、やっぱ年を取るって無慈悲。おそらく20代のころと思われる岡田真澄が出てるんですがこれがカッコ良い!

例えるならぱっちり二重でアンニュイな目つきにした色気倍増ディーンフジオカ

映画の中でもすべてお見通しのクールなモテ男の位置づけですがその役にピッタリ。

疑問:太陽族って何者なの?キラキラしてまぶしい!

この映画最大の謎。石原・津川兄弟や岡田真澄を含む「太陽族」っていったい何者だったのか?

とにかくこの映画に出てくる若者たち。カネと時間をあり余るほど持ってます

wikipediaを見る限り兄弟は大学生と高校生らしいのですが、伊豆の豪華な別荘で

  • オシャレなオープンカーを乗り回すわ
  • 社交ダンスが行われてる豪華クラブをまるで自分の庭のごとくズカズカ入っていくわ
  • なぜかそれぞれ自分のヨットを持ってて水上スキーで遊び倒すわ

やりたい放題。お前ら学校どした?てかそのカネどした?

と細かいバックグラウンドに頭が行ってしまいます。

今の大学生(てかサラリーマンもだけど・・)て基本貧乏で実家からの仕送りも期待できないし、なんならバイトもコロナで出来なくなって大変・・てとこからすると、あまりにかけ離れた当時のキラキラしてリッチな世界を見せつけられます。(すごくうらやましい)

たぶん作者の石原慎太郎もボンボンの家に生まれて、大学時代にカネにモノを言わせたこうした放蕩生活をしたんだろうなーそしてこの作品はその回顧録なんだろうと思って調べたところ、もともと石原家自体は普通の中流サラリーマン家庭で、一橋大学時代は文学雑誌の同人誌を刷る金がなくて人から借りたりしてるんですね。

なのでこうしたキラキラした大学生活は自分の憧れた青春の投影なのかもと思いました。

ということで『狂った果実』でした。

ストーリー的にはさほど面白くもありませんが

  • 当時の(太陽族含めた)若者の生態(生き方・遊び方)
  • 作中のオッと目を引く演出(冒頭の津川アップと最後の延々と旋回を繰り返すシーンが◎)
  • 噂にたがわぬ石原裕次郎の超ハイウエスト美声

などを見れたのは良かったです。

未見の人は一度見ておくと目上の人との話のネタにもなって良いのではないでしょうか。

それでは。Go for it!